初めてタワーやアンテナの組立をされる方へ
今年(2012年)は、アマチュア無線アンテナ設備の工事をお引き受けした件数が例年になく多かったです。
昨年までは、年に3件ほどしかありませんでしたが今年は既に22件。QRTされた方の再開も多かった気がします。
お引き受けした工事のなかで、ご自分でタワーやアンテナの組立をされた方も少なくなく、工事の時に予想外の手直しが発生し時間を
費やしたこともありました。
そこで、これから初めて建設の計画をお考えのかたへ、過去、多かった誤りなどをご紹介致しますので少しでもご参考になればと思い
ます。

多かった誤り
①アンテナエレメント接続用のビス及びパーツの使用ヶ所の誤り。
②パイプエレメントのコイルの水抜き穴が上になっている。
③タワーのレール(鋼材)・プレス・ジョイント金具組立の誤り。
④タワーのボルトナットの使用位置と向きの誤り。

組立をする前に、ハヤル気持ちをグッと抑えて取扱説明書やマニュアルをよく読みましょう。

※メーカーが作成した取扱説明書やマニュアル等は、その製品の組立や建設を行う上で絶対的なものです。
 メーカーの指示どおりの組立や建設を行うことが条件でその性能や安全性を保障しています。 従って、万一、記載内容に誤りと思わ
 れる箇所や不明点があれば必ず問い合わせを行い指示指導を受けましょう。

★ 準 備
  製品が届いたら、取扱説明書等の項目に「部品数量表」が記載してあると思いますので、実際にそのとおりに入っているか確認します。
  欠品や破損品がある場合はすぐに販売店などに相談しましょう。
  次に、部材がすべてそろっていたらその部品をサイズ別・種類別に小袋やパーツケースに小分けします。 こうすることで部品の紛失
  や使用ヶ所の誤りも少なくなり、作業能率もグンとあがります。 また、大きなものも同様に分けておきます。部品によっては色分け
  してありますので、色ごとに分けておくとよいでしょう。
  必要な工具や資材を用意して、組立や仮置きにじゅうぶんなスペースを確保します。
★ 組 立
 
取扱い説明書等を確認しながら指定された部材を組立ます。
  アンテナの場合はエレメントパイプの組み合わせ順番とコイルの向きに注意してください。 コイルの接続穴の位置や方向がどうなっているか説明書
  の文書や図などで確認します。 特にコイルの部分は水抜き穴を下向きにしておかないと雨水が入ってショートや腐食の原因になります。
  私がまだ高校生くらいのときに、失敗しました。雨が降るとSWRが悪くなり、天気が良くなると回復する。まさにコイルの水抜き穴が上でした。
 
  タワーも説明書に従って組み立てますが、できれば下段(基礎部)から組み立てた方がよいでしょう。 レールやパイプの数量が多いので組み合
  わせを間違わないように、また、使用するボルトナットの直径と長さも間違わないように注意しましょう。どこにどのボルトを使用するかは決ま
  っています。 ここでボルトの向きを間違えると、ボルト同士が接触して取付ができなくなったりします。 プレス(筋交い)の表と裏も決まっ
  ています。
★ 穴 掘 り
  これも大変な作業で、あるメーカーの取り扱い説明書には2~3人で3時間~4時間を要すると書いてありますが、これは土壌によって異なり
  ます。 岩盤地区や砂地などは人力とスコップだけで掘れません。 基礎工事はできれば業者に依頼した方が良いと思います。
仲間同士で穴掘り
  を行う場合には、掘った穴の崩落などにじゅうぶん気を付けてください。水の多い地区は要注意です。 仕事として行う場合、労働安全衛生法等
  で安全対策や方法が決まっています。また、資格もあります。 こういう細かい指示は取扱説明書には記載がありません。 
  その他、掘削する場所の埋設物も注意してください。ガスや水道管、電気といった物が埋設してあるかもしれません。 水道管の水圧は高いので、
  引込管でも水が噴き出してくると、みるみるうちに穴が大きくなります。そして渦が巻いて泥水で濁っているため、どこが破損したかもわからず
  慌てるばかりです。私達は事前に止水栓がどこにあるか必ず確認するようにしています。
★ 基 礎 工 事
 基礎穴が掘れたら、すぐに生コンクリートを入れるのが理想ですので、前後の日程を考えて工事を進めましょう。 コンクリートを入れる前に
  タワーの基礎部が動かないようにしっかりと木材や鉄パイプで固定しておきます。 コンクリートの重量と圧力は想像以上ですので、生コンを
  打ってしまった後では、たとえ固まってなくても、もう動きません。 なので、垂直や方向やバランスなどすべてコンクリートを入れる前に調整
  して固定します。 生コンクリートを注文するときは18-12-20Nを1㎥などと手際よく注文してください。(生コンの強度には指定がある
  場合がありますので事前にメーカーに問い合わせをおすすめします。) また、現場の状況でミキサー車の大型小型が指定できますが、追加料金
  が発生しますので生コンクリートの会社へ確認しておくとよいです。 
★ 組 立
  タワーの組立は、事前にブロックごとに組み立てて積上げていくという方法が一般的
  ですが、メーカーによっては異なる部分もあるため、説明書に従いましょう。
  ボルトナットは対照的順に均等に締め付けます。説明書を見ていると、項目に「締付け
  トルク」という表現がありますが、本当は左写真のような専用工具を使用します。
  一定の締付力に達すると「カチン」と音がしたり滑ったりするものがあります。
  ただ、高価で一般的にはお持ちの方が少ないので、その代替としてレンチでの締付け
  方法が記載してありますので、それに従うとよいでしょう。